重要ポイント
- MicrosoftとシンガポールNUSなどの研究チームが、AIに自然言語で作らせた「バイブコーディング」アプリの安全性を調査
- 公開稼働中のアプリ984件から無作為抽出した200件のうち、91%に少なくとも1つの脆弱性
- 見つかった脆弱性1,186件のうち65.77%が「致命的」または「高」の深刻度に分類
- 原因の63.4%は、AIがセキュリティ要件を暗黙のルールとして見落とす「知識の欠陥」
- プロンプトに「本番運用に耐えるものを作って」と加えると、脆弱性の再発率が25.7%から11.0%に下がった
概要
Microsoftとシンガポール国立大学(NUS)などに所属する研究者らが、自然言語の指示でAIに設計から実装まで任せる「バイブコーディング」で作られたアプリケーションの安全性を調べた論文「Understanding the (In)Security of Vibe-Coded Applications」を発表しました。公開されているオープンソースのアプリ9,041件のうち、実際にインターネット上で稼働している984件から200件を無作為に抽出して脆弱性を監査した結果、9割を超えるアプリに少なくとも1つの脆弱性が見つかりました。
詳細
調査方法
調査対象は、Claude CodeやLovableといったツールを使い、コードの90%以上をAIが書いたと見なせるアプリです。研究チームはこうしたアプリのうち実際に公開運用されている984件から200件を無作為抽出し、1件ずつ手作業で脆弱性を監査しました。
見つかった脆弱性の深刻度
200件のうち91.0%にあたるアプリから、少なくとも1つの脆弱性が見つかりました。確認された脆弱性は合計1,186件にのぼり、このうち65.77%が第三者による不正アクセスやデータ漏えいにつながりかねない「致命的」または「高」の深刻度に分類されています。内容別では、アクセス権限の不備が339件(28.58%)、インジェクション系の不備が199件(16.78%)、認証の不備が176件(14.84%)を占めました。
原因は「知識の欠陥」
研究チームは脆弱性の原因を3つに分類しています。最も多かったのは、AIがセキュリティ上必要な暗黙のルールを見落としたり、危険な指示をそのまま実行してしまう「知識の欠陥」で、全体の63.4%を占めました。次いで、セキュリティよりも機能の実現を優先してしまう「目的の欠陥」が23.1%、実装すべき既定の安全対策を単純に書き忘れる「記憶の欠陥」が13.5%でした。
対策になり得る工夫
指示文(プロンプト)に「本番運用に耐えるものを作って」という一文を加えるだけで、脆弱性の再発率は25.7%から11.0%まで下がりました。セキュリティに関する注意点を明示的に加えた場合も11.9%まで改善しましたが、逆に技術的な指示を細かく書き込みすぎると45.7%まで悪化するケースも見られました。また、より高性能なAIモデルに切り替えても改善はほとんど見られず、場合によっては悪化することもあったとしており、モデルの性能向上だけでは解決しない課題であることがうかがえます。
出典
- バイブコーディングで作った公開中のWebアプリ、9割に脆弱性(ITmedia、2026年10月7日)
- Understanding the (In)Security of Vibe-Coded Applications(arXiv、2026年9月14日更新)




