重要ポイント
- Netflixが2026年3月5日、俳優・監督のベン・アフレック氏が設立したAI企業「InterPositive」の買収を発表し、開発チーム全員を迎え入れた
- 四半期報告書でNetflixが開示した買収額は現金で約5億8700万ドル(約927億円)
- InterPositiveのツールは文章から映像を生成するものではなく、撮影済みの素材から作品ごとに専用のAIモデルを構築し、照明や色味調整などの仕上げ作業に使う
- アフレック氏はNetflixのシニアアドバイザーに就任。自身が監督・主演した映画「Animals」は2026年10月9日からNetflixで配信中
- Netflixはこのツールを提携する映像制作者に提供する方針だが、一般向けの商用販売は予定していない
概要
Netflixは2026年3月5日、俳優・監督のベン・アフレック氏が2022年に設立したAI企業「InterPositive」を買収すると発表しました。四半期報告書では、買収額は現金で約5億8700万ドル(約927億円)と開示されています。InterPositiveは文章から映像を自動生成するタイプのAIではなく、各映画の撮影素材をもとに作品専用のAIモデルを構築し、照明や色調整といった仕上げ作業を支援する技術を手がけてきました。アフレック氏は配信中の自身の監督作を通じてAI技術への理解を説明するなど、ハリウッドにAIへの警戒感が残る中での普及を進めています。
詳細
InterPositiveの技術と仕組み
InterPositiveの技術は、テキストから映像をまるごと作り出す生成AIとは異なります。実際に撮影された映像素材を学習データとして、その作品専用のAIモデルをその都度構築し、ポストプロダクション(撮影後の仕上げ工程)で照明の調整、色味の補正、視覚効果の作業を支援するために使う仕組みです。既存の俳優の演技や撮影内容を置き換えるものではなく、制作者が元々意図した表現をより効率よく仕上げるための補助ツールとして位置づけられています。
買収の経緯とアフレック氏の立場
ベン・アフレック氏は2022年にInterPositiveを設立しました。Netflixは2026年3月5日の買収発表で、同社の開発チームをまるごと迎え入れたことを明らかにしています。アフレック氏自身はNetflixのシニアアドバイザーに就任しました。同氏が監督・共同脚本・主演を務めた映画「Animals」は2026年10月9日からNetflixで配信されており、そのプロモーションの中でアフレック氏はAIの機械学習について説明し、自身もPythonを学んだとする発言もありました。
提供方針とハリウッドでの位置づけ
Netflixはこのツールを、提携する映像制作者に提供していく方針を示していますが、一般向けに商用販売する予定はないとしています。Netflixのチーフ・コンテント・オフィサーであるベラ・バジャリア氏は、このツールを制作者が創作上の意思決定を行い、自身の作品の方向性を守るための手段だと説明しました。2023年の脚本家・俳優組合によるストライキでAIの扱いが大きな争点になったハリウッドにおいて、今回の買収はAIへの不安を抱く関係者に向けた訴求という側面も持っています。
出典
- ネトフリが927億円で買収──俳優ベン・アフレックが明かす、AIを恐れる人々への売り込み方(Forbes JAPAN、2026年10月18日)



