重要ポイント
- Anthropicが2026年10月16日、社内の雇用データとAI利用状況を分析した報告書を公開
- 技術部門の若手社員比率は2025年初めの21%から14%に低下、若手採用の割合は27%から9%へ急減
- 2026年3月、社内AIエージェントの合計稼働時間が人間の労働時間を初めて上回った
- コードのコミット数は半年前の約5倍に増加するなど生産性は向上した一方、「エージェント管理」業務の割合は2025年秋の10%から2026年春に22%へ増加
- 採用では専門知識よりも自律性・判断力・AI活用の創造性を重視する方向に変化している
概要
2026年10月16日、Anthropicは社内の雇用データやAIの利用状況、社員アンケート、カレンダーデータなどを分析した報告書「How employment is changing at Anthropic」を公開しました。社員17名へのインタビューも実施し、自社内でAIが人材配置や働き方にどのような影響を与えているかを具体的な数字で示しています。同社は、AIを開発する企業自身の職場で何が起きているかを公開することで、他の企業や政策立案者の参考にしてもらいたいとしています。
詳細
若手技術者の採用が減少
報告書によると、Anthropicの技術部門に占める若手社員(ジュニア層)の割合は、2025年初めの21%から2026年には14%まで下がりました。新規採用のうち若手が占める割合はさらに急激に減り、27%から9%になったといいます。技術部門が全社員に占める割合自体も、61%から56%に下がりました。採用担当者は、専門分野の知識そのものよりも、自律性や判断力、AIツールを創造的に使いこなせるかどうかを重視するようになっていると報告書は説明しています。
AIエージェントの稼働時間が人間を上回る
2026年3月、社内で動くAIエージェントの合計作業時間が、人間社員の労働時間を初めて上回りました。2026年8月の時点では、社員1人あたりに割り当てられたエージェントの稼働時間は、人間の労働時間の約6倍に達しているといいます。コードのコミット数は半年前と比べて約5倍に増え、営業担当者1人あたりの成約数や、法務・経理部門での処理件数も増加しました。一方で、AIが書いたコードが後から削除・差し戻しされる割合は、人間が書いたコードと比べて特に高くはなかったとしています。
「エージェントの管理」が新たな仕事に
生産性が上がった一方で、報告書は人間の注意力と判断力が新たな”ボトルネック”になりつつあると指摘しています。エージェントの出力を確認・修正する業務の割合は、2025年秋の10%から2026年春には22%まで上昇しました。非技術職の社員でも、AIの出力をすべて読むには週の労働時間の半分近くがかかると推計されています。2026年4月の社内調査では、27%の社員がClaudeのおかげで生産性が上がったと答え、20%は自分の仕事の中身が「作業そのもの」から「Claudeの管理」に変わったと回答しました。
会議時間も増加
カレンダーデータの分析では、社員1人あたりの会議時間は前年比20%増、技術系社員に限ると16%増でした。Anthropicは、AIの活用が進むほど、信頼関係を築き責任の所在を明確にするための対面でのすり合わせが重要になっていることが背景にあると説明しています。
提言と留意点
報告書は、組織としての対応策として、社員への株式付与、AIの影響を早期に察知する仕組み、社内での人材再配置などを挙げています。また、人の仕事を安易に置き換えるだけの「効率の悪い自動化」を避けることの重要性や、社会全体では再教育や所得支援といった政策の必要性にも触れています。あわせて、今回の生産性に関する分析は、AIを導入した社員と導入していない社員を比較したものであり、導入の時期は無作為に決まったわけではないため、結果にはバイアスが含まれる可能性があるとしています。
出典
- How employment is changing at Anthropic(Anthropic、2026年10月16日)





